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新着情報バックナンバー>ロングインタビュー「参院選から半年、あの公約、どうなりました?」




4期10年目の議員活動を続ける松本 龍。
市民と政治とのキョリがどんどん遠くなっていくような気がしている今だから聞きたい。
「龍さん、あの公約どうなりましたか?」
(国会ダイジェスト '00冬号より)

■新世紀に向けた、日本のかたちがもっと語られるべき。
12月1日、第150臨時国会が閉幕した。政府はこの国会に2000年度補正予算と法案21件を提出。補正予算をはじめ、参議院の比例代表選に非拘束名簿式を導入する改正公職選挙法やあっせん利得処罰法、少年法の改正など法案20件が成立した。
−今世紀最後、「ミレニアム国会」などと言われていましたが、全体の印象はどうでしょう。
「補正予算を例にとるとわかりやすいかもしれません。お金にして総額4兆7832億円が追加して予算化されましたが、民主党は反対しました。というのも景気対策やIT革命の推進など、費目はいかにも聞こえがいいのですが、やっていることは今までの”ばらまき”と変わらない。これからの日本をどうするのか、そんなコンセプトが見えてこなかったからです。今世紀最後だからこそ、新世紀の日本がどうあるべきか。そんな視点を政府は国民に示すべきだったと思います」
−では、新世紀の視点とは何でしょう。
「次の世代にツケをまわさない。これにつきます。国民一人あたり500万円にもなる国の借金をどうするか。教育の現場や企業でおこっているさまざまな問題を、どう考えるのか。迷った時やわからなくなりそうな時は、いつもこの原点に帰って、答えを見つけようとつとめています。 少年法の改正案が成立し、刑罰の対象が16才以上から、14才以上に引き下げられました。処罰を重くしたら、少年犯罪が少なくなるか。私は違うと思います。その根っこの部分をもっと議論し、子どもとおとな、子どもと社会の信頼が回復できるようなプラスの方策も取り入れるべきだと思います。 ひとつの方法として私が選挙の公約としてかかげていたのは、成人年齢を20才から18才にするということ。選挙権を18才にあたえて、責任と自覚をめばえさせるという考え方です。今年は”17才”が突出した1年でしたが、それはほんの一部。ほとんどの17才をどう考えるかという視点が大切ではないでしょうか。18才という責任ある節目が目前に来ることで、16才、17才の意識が変わっていく。そのことで生まれるエネルギーは、社会を変えていく力になると信じています」

景気回復には将来不安をなくす政策を
−中小企業の支援について教えて下さい
「所属する商工委員会で信用保険法の改正について審議しました。銀行の貸し渋り対策の特別優遇措置を、景気回復の兆しが見えはじめた今、どうするかと。財政的な余裕はないから、支出は少しでも抑えなければならないという意見もありました。しかし中小企業対策はまだ続けるべきではないかと主張し、一般保証の枠を広げました。今まで5,000万円の限度だったものを、8,000万円にしたのです。というのも、いろいろな商店街を視察したり、中小企業の経営者と会うなかで、生の声を聞き、中小企業対策はまだ必要だと切実に感じたからです」
−その景気回復ですが、私たちの実感としてはまだまだという感じなのですが。
「私はそれを”体感景気”と表現しています。経済成長や景気動向はたしかにプラスになっているのに、GDPの6割を占める個人消費がなかなか回復しないなぜか。それは将来に対する不安が原因だろうと思います」
−公約のなかでは年金制度の改革や介護保険法の見直しが、将来不安をなくすことにつながると思います。具体的にはどんな取り組みを続けているのでしょう。
「年金制度では若い人たちには”どうせ自分たちはもらえない”という気分が広がっていて、未納者も少なくありません。民主党はその不安を取り除くために基礎年金の半分は、国庫から負担することを主張しています。政府も一度は約束したはずなのに見送りになって、実現されませんでした。 介護保険法でも保険料の徴収開始をのばしたり、一時的に凍結したり。すべて場渡り的、その場しのぎのことばかりで、選挙をにらんだ人気とりの政策に終始しています。 まっこうから向き合って、国会の中はもちろん、国民にも理解を得られるよう大きな議論をしなければ。私自身も有権者のみなさんにお約束していることですから、今後もっとも強くすすめていかなければと思っています」

正しいことを言い続けることが力になる
内閣不信任案に自民党の非主流派が同調の意志をしめし、政界の再編成までを予感させるものとして期待された。結局は非主流は採決に欠席、内閣不信任案は否決された。
−テレビを見るために早く家に帰る。それもドラマの最終回やサッカーのワールドカップではなく、国会中継を。そういう人、多かったと思うんです。
「だからこそよけいに罪が重いですよね。芝居を見に行って、幕が上がる前に出演者がいなくなったのですから。マスコミなどはあれで政治不信が加速したと言っています。 でも、現職の国会議員としては、可能性も見えたような気がするんです。自分たちに都合の良いように変えてきた手法が、もう通用しなくなってきた。長野県や栃木県の知事選を見てもわかるように、市民が一番賢い。自分にとってソンかトクかではなく、地域や未来にとって正しいか間違いかを考えているということです」
−民主党と自民党の言っていることの違いがよくわからない、という声もあります。
「それは自民党が私たちの方へ、すり寄ってきているからではないでしょうか。自民党の亀井政調会長がうちあげた公共事業の見直しが、評価されました。公共事業の見直しは民主党の”お株”だったわけで、私たちが言い続けることによって世論が動きはじめた。それを自民党としてもこれ以上無視できなくなってきたということです。 民主党が言い出したことを自民党が後からおっかけてきて、法案として成立させる。そういう例はとても多いのです。金融再生法やNPO法、今国会のあっせん利得法もそうです。そういう意味では正論を言い続けることが大切だと改めて感じているし、野党でありながら政策を実現できているというたしかな手ごたえもあります」
政治家はすぐれたコンダクターでなくてはならない
公務員に対する政治家などの口利き行為を制限し、政治家の姿勢を正そうという「あっせん利得罪」。前回の臨時国会で松本 龍が提出者となり民主党から「あっせん利得収賄罪法案」を提案。それが契機となり自民党から「あっせん利得処罰法案」が、保守党から「口利き防止法案」が提出された。結果的には自民党案が採択されたが、立証がむずかしいことや私設秘書が罰則の対象からはずされたことなど、抜け道が多いとして、今後も改正を求めていく。
−議員立法ですが、1年間で何件くらい立案するものですか。
「この1年間で5本くらいでしょうか。ニュースにはならなかったほどの小さな話ですが、手話通訳者に報酬を認める法律をつくりました。それまでは買収になるとの見解から、選挙中に手話通訳をお願いしても報酬が払えなかったのです。恥ずかしいことに、私自身それまで4回の選挙運動をしていましたけど、知らなかったんです。ある日市民団体や障害者団体の方が私のところに来て、変えてくださいと言われました。立法作業に1〜2カ月かかり提出したところ、与野党全会一致で通ったということがあります。 政治家が関わる問題は多岐に渡っていますし、そのすべてで専門家にはなりえません。私は政治家はすぐれた指揮者であるべきだと思っています。市民のみなさんがこうして欲しいという要望を、政策として立案し、実現していく。いろいろな音を正確に聞くために、いつもニュートラルコーナーにいなければならないと思っています。先ほどの例でもわかるように、政策づくりの基本はみなさんの声です。要望があればどんどんぶつけてください。そのために私はいるのだと思っています」

 

■10年たって、仕事がおもしろくなってき
ロングインタビュー番外編
*ここでは紙面で掲載できなかった内容を、追加してご紹介します。
−前回の選挙のポスターが印象的だったのですが、今国会でも”審議拒否”がありましたね。
「私も審議拒否がいいとは思っていません。しかし与党のやり方は、ひどすぎました。たった9時間ですよ。9時間で強行採決。民主主義の基本である選挙法を変えるのに、です。非拘束式は個人に入れた票が、党の票にカウントされるということです。マスコミが大合唱しているように、全国的に知名度の高い芸能人などが有利になります。 たとえばたくさん票を獲得した人が、選挙違反で当選が取り消しになるとします。でも党にカウントされた票は残る。そんな議論が尽くされていないのです」
−本当に”この国には議論が足りない”みたいですね。
「そうじゃない場面もたくさんあります。10人いて6対4なら、6が勝つわけです。しかし議論をするうちに4が6になることもある。だからおもしろいわけで」
−仕事、おもしろいですか?
「おもしろいですよ、楽しいという意味ではなくて。なんとなく日本には、公務員は24時間公の立場でいなくてはならない、趣味や贅沢はいけないという風潮があるような気がしませんか? 大蔵省や建設省の人と話をする時、まずみなさんが生活を楽しみなさいと言うんです。たとえば居住空間を広げるとか、率先して有給休暇をとる。そうでなければ”ゆとりある生活”のための発想なんて、生まれてこないと思いませんか」
−いよいよ21世紀ですね。
「今世紀最後とか、新世紀に向けてとか、最近その手の質問多いですよね。たとえ21世紀になっても、私のスタンスは変わりません。中央から地方へ。中央が握っている権限を、大胆に地方へシフトしていきたいと思っています。これだけ生活が多様化したり、個人の価値観がバラバラになっているのに、ひとつのシステムで解決しようなんて無理でしょう。 たとえば地域通貨って、あれおもしろいですよね。ひとり暮らしのお年寄りがソファを動かしたいと思って、地域の人に頼む。頼まれた人はその労働分を、また別の地域の人からたとえば食事をつくってもらうとか、労働として受け取る。昔でいう”隣組”を現代にアレンジした方法ですよね。 近ごろのNPOの活躍を見てもわかるように、今は政治よりも市民の方が先を行っている時代。そのためにどんな法律が必要かを、生活者が求め、発想して、私たち政治家がかたちにしていく。そうなった時にはじめて、日本もダイナミックに変革を遂げるかもしれないと思うのです」
 

 

 

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