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Q:松本龍委員
伝産法には、経済的、文化的、二つの側面があることを認識しているか?
私は、伝産法には二つの側面があると思います。一つは、国と地域が一体となって伝統産業を育てようという経済の活性化を目指した、経済的な側面。もう一つは、すばらしい技能を持った人たちが、厳しい環境の中で、そのわざをどう継承し、どうやって物をつくり続けていくかといった、文化的な側面。
技術というのは、ある意味ではコンピュータに置き換えられる。ところが、技能、手が覚えたわざというのはコンピュータには置き換えられない。後に続いていかないんですね。だからこそ、文化的な側面にもっと重きをおく必要があるかと思います。
伝産法には、経済的な側面と文化的な側面、二つの側面があるということを認識していますか。
A:岡本政府参考人(経済産業省製造産業局長)
伝産法の大きな目的は産業振興。産業としての実態がなければ、法律の直接の施策対象にはなりにくいことも理解して欲しい。
伝統産業の振興にあたっては、今、おっしゃった文化的側面である、技術・技能の継承も重要な課題ですから、それを支援することも法律の中ににらんでいます。
その一方で、やはり伝産法の大きな目的は、産業の振興。技術・技能はあっても、産業としての一つの集積をもって、一定の基盤を持っているという実態が伴わなければ、この法律による直接の施策の対象とするには制約がでてくる点をご理解いただきたいと思います。
Q:松本龍委員
途中で要件が満たされなくなった場合、指定を外されることはあるのか?
対象にして欲しいというようなことは、私は言っていません。
現在、全国で百九十四品目が伝産法に指定されています。法律の二条一項で指定要件が五つほど挙げられている中で「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること」とあります。ここでいう、少ないくない数とは、十以上の事業者または三十名以上の従業者を意味します。
お尋ねしますが、途中で人間が少なくなってきて、この要件が満たされなくなった場合には、指定を外されることもあるわけですか。
A:岡本政府参考人
これまでに指定を外されたことはない。
論理的には、要件が満たされなくなった場合に指定を見直すことはあり得ますが、私どもも産地の実態を踏まえながら法律の運用にあたります。これまでに指定を外されたというケースはありません。
Q:松本龍委員
指定要件の運用は、もっと弾力的に見直すべきではないか?
法律では、要件を満たさない場合は指定を外すという書き込みがあるのですが、今まではそれが運用されていません。ということは、やはり少なくなってきても、この産業を育てていこうというみんなの合意があって、指定を外すということは行われていない。そう私は考えます。法律の指定要件の運営については、技能の継承や後継者の育成といった点から見ても、もっと弾力的に見直す必要があるのではないでしょうか。
A:岡本政府参考人
外形的基準を満たしている指定予備軍と、基準を大きく下回る産地についても、課題として取り組みたい。
現行の十企業あるいは三十人以上の従業者というのは、立法当初の議論の経緯を考慮しながら、今の指定要件として定めています。ご指摘に関連して一つ。現在、百九十四の産地を指定していますが、十企業あるいは三十人以上の従業者という外形的な基準を満たしていて、なお指定されていない、予備軍とも言える産地の数が、百九十四を上回るぐらい実は控えているのです。そういう予備軍を順次、指定していくということが課題となっています。それとあわせて、この基準を大きく下回るようなところをどうするかという、なお難しい問題もあり、これから勉強させていただきたいと思っています。
Q:松本龍委員
後継者問題も含めて、これからの伝統産業に関する考えは?
産業振興、地域振興だから、一人産地みたいな方には、なかなか手が届かないということは、百も承知しています。ただ、二十年前から半減、あるいは三分の一という状況に、手をこまねいているわけにはいかない、なんらかの対策が必要だということを言いたい。
福岡県や市では、逆に十名以下の伝産法の外にある人たちをバックアップするシステムがあります。ある銀行では、一人産地みたいな方々を支援することもやっておられます。
私の町(福岡)には、木を高熱で曲げて、おぜんや飯びつなどをつくる博多曲げ物という伝統産業があります。この産業は、博多の町では今、柴田さんという方、ただ一人しかやっておられません。私がこの柴田さんと一時間ほど話をした中で、大変印象深い言葉がありました。というのは「私はお金をもらっても何の足しにもならぬ。職人の誇りとして、自分が一番つらいのは、後を継ぐ者がいないことだ。まさに日本の伝統をどう残すかということを政治家の皆さん、考えていただきたい」というようなことを、もう七十過ぎの方ですが、言われました。お金ではなく後継者が欲しいという、彼の思いは非常に胸に迫りました。
そこで、後継者問題も含めて、これからの伝統産業に関する大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
A:平沼国務大臣
後継者がいないために伝統工芸が途絶えることは、日本にとって重大な損失。
博多曲げ物の柴田さんのお話を伺って、長年、博多の地で培われた伝統工芸の技術を、後継者がいないために、この代限りで失うことは、日本にとって非常に大きな損失だなと感じました。したがって、地域の皆様方の伝統工芸を守ろうという動きは、非常に貴重なことだと思っています。
今、伝産法は、産業振興という一つのコンセプトの中でやっております。しかし、危機に瀕している大切な伝統工芸技術を守っていくために、これからは政府としても、発想をかえて、新たな観点から対策を講じなければいけない。文化庁とも連携をとりながら、取り組んでいかなければならない。お話を伺ってつくづくそう思いました。
Q:松本龍委員
産地プロデューサーとは何ですか?
前向きのご答弁、本当にありがとうございました。さて今回の改正で産地プロデューサーの追加が入っておりますが、具体的にお話を聞かせてください。
A:岡本政府参考人
伝統工芸品を使っての総合的な戦略づくりを産地ごとにやっていくのが、産地プロデューサー。
例えば、テーブルコーディネーターやインテリアコーディネーターなどのアドバイスを受け、産地の伝統工芸品を使って、新しいものを開発する。新しい顧客層や販路を開拓する。そういうことに向けての総合的な戦略づくりを、産地ごとにやっていこう、というものです。プロデューサーの方に期待する事業としては、マーケティングリサーチ、価格戦略、人材養成といった、多面的な処方せんづくりです。これを来年度予算で重点的に進めていきたいと考えています。
Q:松本龍委員
伝産法の外にある人たちにもきめ細かい作業をしていくのか?
私もこの伝産法の関係で、いろいろな方にモニターをしてきましたが、産地プロデューサーのシステムは、非常にみんな喜んでおられました。これから登録システムなどあるわけですけれども、速やかに情報を流してほしいという要望があることをお伝えしておきたいと思います。それと、伝産法の外にある人たちにも、この産地プロデューサーのシステムをマッチングさせることも必要だと思います。そういうきめの細かい作業もしていきますか。
A:岡本政府参考人
伝統工芸品の事業に関わる方を幅広くお手伝いできるよう努力したい。
法律に基づく直接の施策には前述したように制約があります。しかし、それを離れて、伝産協会でやっていくような事業、今度の産地プロデューサーなどについては、できるだけ伝統工芸品の事業に携わっている方を幅広くお手伝いするという方向で、努力したいと思います。
Q:松本龍委員
伝統工芸品の需要の拡大についてどう思うか?
物つくりしか知らぬ、という職人さんが多い中、産地プロデューサーが本当に動き出すと、大きな効果があると思います。ぜひがんばっていただきたい。
博多人形の組合で聞いたのですが、博多人形四百年祭という絵はがきを郵政省とタイアップしてつくったところ、非常に好評だったそうです。国を挙げて伝統工芸を振興していこうというのであれば、こういう、いろいろな方法があると思うんです。
または、在外交官や海外にある日本の施設など、海外で今、注目されているものもあるので、どんどん海外に知らせるシステムをつくって欲しいという要望もありました。これらも含めて、伝統工芸品の需要の拡大についてどう思いますか。
A:岡本政府参考人
ジェトロなどの機関の協力も得ながら、海外へのPRにも努めたい。
日本の和の文化については、近年、海外でも大変関心が高まっています。そういう中で、日本のすぐれた伝統工芸品を海外へ積極的にPRし、さらに輸出へという方向は、これから目指していく一つの方向だと思っています。伝産協会の中でも、各地の伝統工芸品の制作現場や、さまざまな情報をデジタルカメラで撮って、その情報をインターネットで供給できるような準備もできております。
それらの素材を使い、ジェトロ(日本貿易振興会)などの機関の方々のご協力もいただきながら、海外へ向けての攻めのPRについてもがんばっていきたいと考えています。
Q:松本龍委員
技能の継承、後継者の育成など問題は大きい。伝産法に対する大臣の決意は?
さらに、伝産協会というくらいですから、ITを活用したさまざまなやり方も、これから試みて欲しいと思っています。
博多人形の組合に行った時のことです。今、体験教室はどこにでもある。しかし本格的にやりたいという人たちに対しての受け皿がないと言われました。例えば、唐津、伊万里、有田などは陶磁器の産地です。そういった産地で、定住型の学ぶところができないかということです。つまり、安い家賃、安い授業料で、ちょっと長い時間、学びながら、手になじませながら、本格的にやっていこうというふうに育てるのも一つの方法ではないかというのです。
もう一つ、福岡市でも四月から博多人形入門講座(※注2)がスタートします。これも今までのサークル的な教え方ではなく、本格的な人形師の育成がねらいです。
このように、地方公共団体や産地などもいろいろな知恵を出しています。昭和四十九年に制定された伝産法には、これからまた違うステージに入っていきながら、技能をどう残していくか、後継者をどう育ててていくかという大きな問題があります。そこで、この伝産法に対する、大臣の決意を伺いたいと思います。
A:平沼国務大臣
法改正とあわせて予算も大幅倍増。伝統的工芸品産業の発展に全力で取り組みたい。
ご指摘のように、伝統的工芸品産業というのは、我が国の伝統的な技術や文化を今に伝える、国の貴重な財産だと思っています。その振興を最大限図っていかなければならないのは、本当にそのとおり。このため今回は、事業者にとって利用しやすい支援体制を整えるために一部法律改正をお願いしたものです。また、この法改正とあわせて、予算の面でも大幅に倍増させていただきました。
これらの施策が、産地自体の主体的な取り組みと相まって、伝統的工芸品産業の発展につながるよう、各委員からのご指摘を踏まえながら、私も全力で取り組んでいきたいと思っております。
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