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いま、なすべきことは? 松本龍が問う

-経済産業委員会質議から-

 エネルギーのほとんどを海外に依存している日本。石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法の一部を改正する法律案についての質議応答の内容をダイジェストでお伝えします。政治にも経済にもスピードが重要、という松本龍が、国が、企業が、いま、なすべきことは何か、鋭く問いかけます。

 

【概要】

 日本のエネルギー政策の鍵は、三つのE。つまり、経済性(エコノミー)、環境保全(エンバイロンメント)、エネルギー需給安定(エネルギーセキュリティー)の三つを同時的に達成する必要があります。

 まず、問題点として指摘されているのは、日本の石油産業のもろさです。その弱点は二つ。第一は、探鉱・採掘からなる上流部門と、精製・販売からなる下流部門が分断されていること。第二は、小さな石油会社が多すぎること。この二つの弱点は、石油業法と石油公団という政府介入によってもたらされました。産業の弱さが政府の介入を生み、その政府の介入が一層の産業の弱さを促す。それがまた政府の追加的な介入を呼び起こすという悪循環、いいかえれば、下方スパイラルが生じてしまったのです。この下方スパイラルを断ち切ることが課題になります。

 そこで、期間を限定した政府関与が有効です。これは、政府介入を期限つきで活用しながら、政府介入が不要となるように産業の体質を強化するというもの。今回の法律案もこのような流れに沿ったものです。
 具体的には、石油業法の廃止、石油公団法の改正、石油備蓄義務の履行など。石油企業の行動を制限してきた石油業法を廃止することで、国際市場で活躍する強靱なプレーヤーと、国際的企業の育成を目指します。石油公団の効率化により、戦略的な事業展開ができるようになります。また、石油備蓄を強化することで、緊急時対応の基盤拡充だけでなく、石油消費国としてのバイイングパワーの強化や競争条件の公平化も図ることができます。さらに石油備蓄は、石油価格変動に備えての緩衝在庫としての利用も検討されています。

 加えて、石油、天然ガス、新エネルギーなどのエネルギーのベストミックスを考えていくことも大切です。石油業界としても、コジェネ(※注1)という熱電、燃料電池などの研究を進めています。
 21世紀は地球環境を考える時代でもあります。環境問題についての国の政策は、炭素税、環境税というような経済的な措置によることが望ましいとされています。石油業界では、ここ十年間で約1兆5000億円を投資。経団連の指導による自主行動計画によって、単位あたりの炭酸ガスを防いでいくことにおいて1990年比10%の削減をほぼ達成しつつあるといいます。 

 エネルギー政策の将来展望は、日本だけではなく、アジア、さらに世界、という大きなとらえ方で考えるべきです。なにより、国民一人ひとりが環境問題に対する意識を高めることが肝要。そのためにどうするかということも、一つの国の指導力としてあるのではないでしょうか。


(※注1)コジェネ
コジェネレーション。熱併給発電。一つのエネルギー源から電気と熱など、二つ以上のエネルギーを取り出して利用するシステム。

Q:松本龍
ノーブルユースとは? これから50年の間に準備をすべきことは?

 「石油というのは大変質のいいエネルギーである、したがって質のいいエネルギーはある用途に限定していってノーブルユースをしていく、そしてさまざまなベストミックスを考えていきながら、これからの中長期的な戦略を考えていかなければならない-深海博明著-」ということを読んだのですが、そのノーブルユースとは?
 それから、環境について考えたとき、これから50年は大丈夫だと思いますが、その間に準備をしなければならないことについてお尋ねします。
 
A:深海参考人(慶応義塾大学名誉教授)
ノーブルユースとは、ベストミックスのユース。新エネルギーの実用化と計画的ベストミックスを総合的に実践していく。

 石油を将来どう考えるかということです。エネルギーとして燃やしてしまっていいのか、原材料とかその他の用途にとっておくのかどうかということもあります。天然ガスもまた、良質のエネルギーです。C部分が多いのですが、クリーンコールテクノロジーをできるだけ開発して、ベストミックスのユースを目指すことが重要ではないでしょうか。今、エネルギーの選択に関して重要なのは、通常、問題になっている、量と価格と質(環境の面)ですが、これに時間という要素を組み込むべきでしょう。
 これからは再生可能エネルギーや新エネルギーを利用することが重要ですが、その実用化までの時間や経済性の達成のためにどうすべきか。計画性をもって化石燃料だけではない、明確なエネルギーのベストミックスという壮大なプランを考えてやっていくことが、基本的エネルギー政策ではないかと思います。

Q:松本龍
期間を限定してやるべきことととは?

 これからの政治にとっても経済にとっても、大事なことはスピードだと思います。期間を決めてやるべきだということ、私も同感です。もっと掘り下げてお話しください。

A:橘川参考人(東京大学社会科学研究所教授)
企業としての強さを育てるという目標を十年という期間でセットして、石油開発政策を進めていく。
 

 日本の石油公団は1967年に、ドイツはその二年後にできました。ところがドイツの方は、すでに上流部門の自立を達成して政府の援助はなくなっています。この違いは目標の違いによるものです。日本の場合は、ともかく石油の量を確保することだけに目標があり、ごく最近まで、企業としての強さを育てるという観点がなかった。目標をそこに置き換え、スピードをとるために十年という期限をセットして、石油開発政策を進めていくことが非常に重要なのです。


Q:松本龍
強力なプレーヤーとしてなすべきことは?

 強靱な企業と強力なプレーヤーが必要とのこと。プレーヤーとしてこれからなすべきことは何ですか?

A:岡部参考人(石油連盟会長)
アジアにおける競争力の確立と、国内における効率的な販売、流通が大切。

 得石法の廃止、石油業法の廃止によって、海外、それも韓国や東南アジアから、生産された品物が入ってきます。まず、アジアを踏まえた中での競争力を確立することにより、輸入品に対して、国内の品物を切りつめていくということ。それから、日本国内においても、需要家に対する収益の還元など、サービスも含めた効率的な販売、流通を行うことが大切だと考えます。


Q:松本龍
現場の声をもっと聞いてほしいとは?

 三十年間ウォッチをされている新井参考人がいうところの、現場の声をもっと聞いてほしい、くみ上げてほしいとは、どういうことなのですか?


A:新井参考人(読売新聞社新聞監査委員会幹事兼解説部)
現場に行くことでさまざまなものが見えてくる。これは一冊の本が書けるほど大変な話。

 一番実感を込めて言えるのは、五年程前、新潟県巻町で原子力発電の住民投票が行われたときのこと。現場に行きますと、非常に参考になることがありました。住民投票で原発反対が多かったわけですが、実は、そこの地域は東北電力管内で電力を最も使っている地域でした。しかも、町の人たちはこのことを知らないんです。
 現場に行くと、さまざまなものが見えてくるということは、体験的にそういうことです。ジェー・シー・オーの問題も同様で、もう少し現場に目を注ぐことができたのではないかと考えて、申し上げたわけです。

Q:松本龍
天然ガスについては?

 石油公団ではなく、石油天然ガス公団にしろとの声もあるほど重要性のある、天然ガスについてうかがいます。


A:橘川参考人

サハリンの天然ガスをパイプラインにより日本で有効活用することが重要。
 
 サハリンの天然ガスの問題に絞ってお答えします。サハリンの天然ガスは、日本にとっての北海油田に当たる位置づけ。パイプラインによって日本で活用するのが重要だと思います。ただし、自由化が進み、最大の需要産業である電力やガスが設備投資を抑えるというのも私企業としてよくわかります。それぞれのプレーヤーが合理的に動いているのだが、トータルでみた結果、大きなチャンスを逃がしてしまった。そんなことにならないために、まさに政策の出番です。国会議員の皆さんのご活躍を期待しています。

A:新井参考人
ガスへの急傾斜による問題も考慮しておくべき。

 天然ガスの問題では、サハリンの天然ガスが日本に入ってくるかどうかということが現実的かつ、最大の課題といえます。イギリスにはダッシュ・フォー・ガスという言葉があり、ガスへの急傾斜が問題となった面もあります。この点は考慮して、慎重にやらなくてはならないでしょう。

Q:松本龍
アジアにおける日本の役割は?

 日本は、アジアにおける公害先進国であり、NOxやNOxの問題や環境の問題があります。そういう意味で、アジアにおける日本の役割をお聞きします。

A:深海参考人
エネルギーの供給面のみならず、有効利用も含めて、広く日本の貢献を考えていきたい。

 日本だけではなく、アジア全体、あるいは東アジアを中心に考えていくことは非常に大事だと思います。日本は公害防止を含めてエネルギーの有効利用の面で進んでいます。環境、エネルギー、経済効率の三つの目標を達成するためには、有効利用、節約技術も重要。供給面もさることながら、そういった面も含めて、広く日本の貢献を考えていくことができたらいいのではないでしょうか。

A:岡部参考人
ます、日本がどのような形をとるか考えていく。産消対話にも期待。
 
 エネルギー問題には、どうしても各国各様の対応があります。確かにアジアということではありますが、中国は大国で国ごとの協調体制がとりにくい、小国は日本に対する技術・資金の依存ということになってくる。まずは、アジアの中核である我々がどのような形をとるかということから考えていかなければ難しいでしょう。
 そんな中で、通産省でも積極的にサウジアラビアとの産消対話を進めています。消費国とのコンセンサスを得ながら対応していく、産消対話が、これからのエネルギー問題を考える上で非常に大事だと思われます。昨年は議長国であったサウジアラビアで開かれました。来年度、議長国となる日本で開かれる産消対話に期待します。
 


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