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Q:松本龍議員
知的財産分野の人的インフラの整備のための方策は?
特に私は弁理士法の改正を担当しておりますので、これについて質問をしたいと思います。私はこの法律を読んで、どうも妥協の産物のような気がしてならない。いろいろな意図が見え隠れしているのを感じます。 小泉総理は、三月二十日、知的財産戦略会議の初会合で、知的財産の創出、保護と活用は、経済活性化を実現するための重要なポイントであり、まさに国家戦略として取り組むべき課題だというふうに言われています。
しかし、この改正法の中には、その経済の活性化と国家戦略というものがなかなか見えてきません。さらに、もう二点。一点は、ユーザーの利便性や負担の軽減が見られないこと。あと一点はスピード感が全く見えてこないことであります。
知的財産権に精通した専門家をたくさんつくっていかなければならないことが急務であると思います。そういう意味では、法廷技術に明るい弁護士が増えてくことが重要だと考えますが、そのための方策をどのようにされているのですか。
A:大島副大臣(経済産業副大臣)
弁理士への能力担保措置、法科大学院制度による専門家の養成に期待。
知的財産関連の侵害訴訟の件数は、平成三年の三百十一件から平成十二年の実績で六百十件ですから、この十年間で倍増しています。そういった意味では、知的財産権に精通した弁護士の数は三百〜四百人くらいしかいないということで、ご指摘のとおりです。
今回の法改正では、一定の能力担保措置を講ずることにより、弁護士が訴訟代理人となっている事件に限り、弁理士に訴訟代理権を付与するということを規定しています。そして一方では、現在議論されている法科大学院制度にも、社会的ニーズの高い知的財産分野をカリキュラムに盛り込み、即戦力となる知的財産専門の弁護士の養成がなされることが期待されています。これらは今後の必要な課題であると思っております。
Q:松本龍議員
法科大学院制度のスケジュールは?
即戦力という言葉を法科大学院制度の話でされましたが、そのスケジュールはどうなっているのですか。開講から第一回の卒業生ということでいえば。
A:清水政府参考人(文部科学省大臣官房審議官)
平成十六年四月から学生受け入れが開始。
司法制度改革審議会意見をふまえて、本年三月十九日に策定された司法制度改革推進計画において、平成十六年四月からの学生受け入れが開始となるよう所要の措置を講ずるというようなスケジュールにのっとって、現在、準備を進めているところです。
Q:松本龍議員
知的創造サイクルをつくるスピードが大切ではないか?
今、即戦力とおっしゃったけれども、平成十六年四月から開校して、五年かかるとして二十一年、それから実務経験をしても三、四年かかれば、今から十年かかるわけです。十年先の話じゃない。五年先の話をしないとだめなんです。だから、冒頭言いましたが、スピードが要るんです。
確かに法科大学院生がその先の即戦力になるのはわかりますが、今、我々の課題は、この五年間をどうしようかということなんです。したがって、弁理士の方から有為な人材を供給していただくのが、今一番大きな課題だろうと思っております。
アメリカで、ヤング・レポートが公表されたのは一九八五年、今から十七年前になります。この間、新聞記事に出ていましたが、知的財産重視政策への転換による産業再生の先例は、一九八○年台のレーガン政権時代の米国にあります。特許庁の大増員、特許訴訟を担当する控訴裁判所の創設、知的財産重視派の判事の登用などの改革の成が出るまでに、アメリカでは十年以上かかりました。日本では、今後三年間に各省庁が取り組む具体的な行動計画を盛り込んだ知的戦略大綱を年内に策定するわけです。つまり、これから改革が始まる日本はもっとスピードを速める必要があると述べられているのです。
しかも、この訴訟というのは、ミノルタとハネウェルの訴訟で二百億円、ミノルタが払ったという、企業の命運を左右する現場なんですよ。そんな現場で、法科大学院を卒業した人たちが即戦力としてやっていけるかというと、私はそうでなないと思います。
そこで、研究開発、権利化、活用、利益、さらにその利益をもとに研究開発をしていくという、知的創造サイクルをつくっていかなければならない。そのスピードが必要だと思いますが、平沼大臣はどうお考えでしょうか。
A:平沼国務大臣
ご指摘どおり、スピードを持って取り組む。
七十年代から八十年代の前半にかけて、日本がひとり勝ちの状況の中で、アメリカは国家的に戦略を起こします。プロパテント政策に積極的に取り組み、特に研究開発、技術革新、知的財産の保護などを総合的に進めていき、九十年代にその結実を得ました。
ですから、日本もご指摘のとおり、スピードを上げてやる。その一環の中で、法科大学院の院生が育つまでの間は、やはりスピードを持って、専門的知識のある弁理士にも参画をしてもらって、これからの知的財産戦略をやっていく。私たちはその主要な役割を果たしていかなければならないという思いで、今、法律をお願いしております。
Q:松本龍議員
なぜ共同出廷を原則として、単独出廷を例外にしたのか?
このままでは、失われた十年ではなく、失われた二十年になりかねない。これから五年の戦略を考えながら、このプロパテント政策に臨んでいただきたと思います。
そこで、伺いますが、なぜ共同出廷を原則として、単独出廷を例外にしたのですか。
A:及川政府参考人(特許庁長官)
審理の充実、期間の短縮を図るために共同出廷を原則とした。ただし裁判所が認める
場合は単独出廷もある。
最近の知的財産権の訴訟は、審理の充実、迅速化という要請から、審理内容も大きく変容しています。これに対応して、訴訟代理人にも、より幅広い知識と迅速な訴訟への対応力が要求されます。このため、弁護士と弁理士が各々の知見を相互に活用しながら、連携して訴訟に対応することで、審理の充実、期間の短縮を図れるのではないかということで、本法案では、弁理士は弁護士との共同出廷を原則としたわけです。しかし、裁判所が相当と認める場合は弁理士の単独出廷を認めるというふうに行っているところです。
Q:松本龍議員
単独出廷を原則として、共同出廷を例外にしてはどうか?
弁護士法の三条と七十二条で、いろいろ規制があることはわかりますが、それを取り払うくらいの気合いがないとスピードが追いつかない。私は、むしろ単独出廷を原則として例外として共同出廷にしてはどうかと考えます。走りながら、何か弊害があれば、そこで解決していく、そのくらいの気合いがあった方がいいのではないでしょうか。
A:及川政府参考人
専門的知識の相互連携のため、単独出廷は、裁判所の訴訟指揮権による。
大きな趣旨は専門的知識を相互に連携させて行うというところにあるので、単独出廷については、やはり裁判所の訴訟指揮権を重視すべきと考えます。したがって、裁判官の裁量で個別に判断することになりますが、おっしゃるとおり、弁理士の専門的知識が活用できる場合や、補佐人や訴訟代理人の経験を通じて、当該弁理士に訴訟遂行能力があると判断された場合は、単独出廷が認められていくのではないかと思っております。
Q:松本龍議員
研修と試験制度については?
多様化するニーズの中、国際競争力で勝つためには、もっと踏み込むべきだと思います。弁理士は補佐人として八十年、審決取り消し訴訟の代理人として六十年の歴史を持っています。そういう今までの経験をしっかり見ていただいて実績を評価していただきたい。
それと、研修と試験制度について、費用はおよそどのくらいになるのか、また、四十五時間と言われていますが、これは連続して四十五時間なのか、お尋ねします。
A:及川政府参考人
コスト、研修期間ともに弁理士の負担を考慮しながら構築していく。
コストについては今後、検討しますが、極力少ない負担を目指すべきだと思っています。
それから研修時間は四十五時間、最低ということでガイドラインを提示していますが、そのあり方についても、弁理士会とも相談をしながら、どういう形がいいのか考えながら構築していきたいと考えております。
Q:松本龍議員
弁理士の補佐人としての実績は、研修にカウントされるのか?
仮に、四十五時間が連続であれば、一日五時間で九日間、土日をはさみ、論文を入れると半月仕事ですよね。これでは、第一線で活躍する弁理士には、研修や試験を受けるのが難しい。さらに自分の案件を抱えながらの研修ですから、さらに負担が増えていく。そういったことへもきめ細かく配慮して、研修や試験の実態を点検していただきたいと思います。それと、今までの補佐人としての実績なども研修でカウントされるのかということもお聞きしたいのですが。
A:及川政府参考人
公共性重視のため、補佐人としての実績はカウントしない。
おっしゃるとおり、連日のこととなりますと、大変な負担になると存じます。したがって、例えば、夕方など、時間が外れたときに一日三時間とか、週二日とかといったふうに、二カ月くらいかけてやるといいのではと、モデル的に考えております。諸事情を勘案しながら、最終的に考えていきたいと思っています。
それから、補佐人としての長い経験というのは確かにありますが、試験につきましては公共性が必要となりますので、それはカウントせずに、研修を受ける順番等において、経験の長い補佐人から順次、研修を受けるというのも、ひとつの考え方ではないでしょうか。
Q:松本龍議員
ユーザーの負担はどうなりますか?
柔軟に考えるとおっしゃいましたが、ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。 さらに、試験地や研修地の問題も含めて検討していただきたい。弁護士会で、弁護士の地域遍在をなくそうと努力をしている中、試験地が東京、大阪、名古屋であることで、逆に遍在が強化されることもありますので。
私は、この改正案が、ユーザーのためになるかどうかが一番の疑問です。ユーザーの負担はどうなりましょうか。
A:及川政府参考人
ユーザーの負担については、競争原理の適正な働きに期待する。
弁護士と弁理士の共同受任ということで、負担が増えるのではという懸念があることは承知しております。しかし、従来から補佐人として弁護士と共同で受けていることもあるし、訴訟にかかる費用が審理の充実化、迅速化の便益に見合うものであれば、ユーザーの厳しい判断の中で、それなりに適正な形で進められていくのではないかと考えます。
また今後のより多くの弁理士の参入により、競争原理の適切な働きで、ユーザー、弁理士双方にとって、適正な水準に落ち着いていくと思っています。
Q:松本龍議員
単独出廷への道を開き、弁護士と弁理士が競うことで国際競争力が培われ、知的財産
国家が実現できるのでは?
適切な水準というのはわかりますが、多分、弁理士は大企業に対して弁理士費用を上げてくれとは要求しにくい。その結果、中小企業やベンチャー企業の費用負担が大きくなってくると思うんです。まして研修・試験制度があって半月拘束され、受講費用も払わなければならない。この費用は、最終的にユーザーの方へいくわけです。そこのところは、やはり考えていただきたい。
一番納得がいかないのは、研修・試験があり、多大な労力と費用を使って資格を得ても、単独出廷ができないという点です。そこまでやるなら、もっと高度な担保能力措置を図ってもいいから、単独出廷の道を開くべきです。そこが中途半端だと思うんです。しかもスピードが大事だと先程も言いました。アメリカに十五年以上も遅れをとっている状況の中で、この五年間が勝負だという意気込みでやるべきだと思います。
私は弁護士にも弁理士にもくみしていません。お互いが競争原理のもとで競い合う中で、国際競争力に見合う戦力ができてくる。そして、国際社会の中で初めて知的財産国家が実現できると確信しています。そういった意味で、最後に大臣にご答弁をお願いしたいと思います。
A:平沼国務大臣
指摘された重要ポイントを盛り込みながらやっていく決意である。
ご指摘の点は非常に重要なポイントを含んでいるものと思っております。今の日本のこの知的財産を戦略的にやっていくためにはご指摘の点も盛り込んでやらなきゃならぬと思っております。
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